民泊ビジネスを検討される方の中でも「市街化調整区域で民泊はできるのか?」と悩まれる方は少なくありません。特に歴史的な建物が多い鎌倉市では、この問題に直面することが多いようです。今回は、市街化調整区域での民泊経営について、わかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 市街化調整区域とは何か、市街化区域との違い
  • 鎌倉市の市街化調整区域で民泊を始める際の注意点
  • 市街化調整区域で民泊を行うための手続きの流れ
  • 「属人性を有する建築物」での民泊経営の制限
  • 必要な書類と相談窓口の情報
住宅宿泊事業(民泊)の法的手続き完全ガイド|届出から運営まで行政書士が徹底解説

住宅宿泊事業(民泊)の法的手続きを行政書士が徹底解説。届出書類の作成から面積要件の計算、用途地域・市街化調整区域の制限、定期報告義務まで完全網羅。事業者層・副業層それぞれに最適な運営戦略と法的リスク回避方法を詳しくご紹介します。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域は、都市計画法に基づいて指定される区域の一つです。簡単に言うと、「むやみに市街化を進めさせない区域」とされている地域です。

市街化区域が「計画的に市街化を進める区域」なのに対し、市街化調整区域は「市街化を抑制する区域」として位置づけられています。お寺のある地域の自然環境を守るため、建物を建てたり、土地の使い方を変えたりすることに厳しい制限があります。

鎌倉市には、北鎌倉、大船、深沢などの一部地域に市街化調整区域が存在しています。これらの地域では、原則として住宅の建築や用途の変更が制限されているのです。

市街化調整区域での民泊経営は可能なの?

結論から言うと、市街化調整区域でも民泊経営は可能な場合があります。ただし、重要な条件があります。

また、市街化調整区域では建物の用途を自由に変更できないため、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)に基づく届出をする前に、都市計画法上の制限をクリアできるかどうかの確認が必要です。

特に注意が必要なのは、次に説明する属人性を有する建築物の場合です。

「属人性を有する建築物」とは

「属人性を有する建築物」とは、市街化調整区域の中で原則建物の建築は認められないが、特定の人しか住めない条件付きで建てられた建物のことです。例えば、農家の方が建てた農業用の住宅や、漁業を営む方の住宅などが該当します。もちろん、お寺を持っている方であれば、それは属人性を有する建築物となります。

鎌倉市の市街化調整区域には、こうした「属人性を有する建築物」が多く存在しています。これらの建物で、住宅宿泊事業者(民泊オーナー)が実際に住まない形、いわゆる家主不在型で民泊を行うことは、そもそも住宅宿泊事業が想定しているモデルとは異なり、都市計画法違反になる恐れがあります。

わかりやすく言うと、「お寺の方専用」という条件で建てられた家を、お寺と関係ない第三者が民泊施設として使うことはできないということです。

鎌倉市の市街化調整区域での民泊手続き

鎌倉市で市街化調整区域内の物件を使って民泊を始めたい場合、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 事前相談: 住宅宿泊事業法に基づく届出を行う前に、鎌倉市都市景観部開発審査課に開発行為等相談票を提出し、利用の可否を確認する
  2. 確認期間: 確認には約2週間の期間を要する
  3. 民泊届出: 開発審査課で問題ないと判断された場合に限り、神奈川県鎌倉保健福祉事務所で住宅宿泊事業法に基づく届出を行う

この順番を間違えると、せっかく民泊の届出をしても、都市計画法違反となって経営できなくなる可能性があります。必ず事前相談を行いましょう。

市街化調整区域で民泊を始める前に確認すべきこと

市街化調整区域で民泊を始める前に、以下のポイントを確認しておきましょう。

1. 建物の属人性の有無

その建物が「属人性を有する建築物」かどうかを確認します。建築確認申請書や開発許可の記録などで、どのような条件で建てられた建物なのかを調べることができます。

2. 家主居住型かどうか

家主が実際にその住宅に住んでいる「家主居住型」であれば、属人性のある建物でも民泊が可能な場合があります。ただし、その家主が建物の属人性の条件を満たす方(例:農家の方)である必要があります。逆に「家主不在型」である場合には、本来の目的と合致していないと判断され、民泊を行うことは困難でしょう。

3. 用途変更の必要性

鎌倉市で民泊利用する建物は原則「居宅」となっている必要があります。市街化調整区域内の建物の用途変更は制限されているため、用途変更するための根拠を詳細に検討する必要があります。地域により運用が異なる場合があるので各市区町村に要相談。

事前相談に必要な書類

鎌倉市の開発審査課に事前相談をする際には、以下の書類が必要です。

  1. 位置図
  2. 公図写し
  3. 登記事項証明書(土地、建物)
  4. 閉鎖登記簿謄本(土地、建物)
  5. 配置図
  6. 各階平面図
  7. 許認可の記録(開発登録簿、建築計画概要書等)

相談内容によっては、他の資料が追加で必要になる場合もあります。事前に開発審査課に確認しておくとよいでしょう。

鎌倉市の古民家や寺院での民泊の可能性

鎌倉市は歴史的建造物や古民家、寺院などが多い地域です。これらの建物を活用した特色ある民泊は、観光客にとって魅力的な宿泊先となる可能性があります。

しかし、これらの建物が市街化調整区域にある場合や、文化財に指定されている場合は、さらに複雑な手続きが必要になることがあります。
国土交通省では市街化調整区域における古民家等の運用方針の弾力化案を打ち出していますが、まだ、実際に運用している役所は多くはありません。

まずは鎌倉市の開発審査課に相談し、その後必要に応じて文化財担当部署への相談も検討しましょう。

関連リンク:

市街化調整区域の古民家等を観光振興や移住・定住促進に活用できるよう開発許可制度の運用を弾力化

まとめ:市街化調整区域での民泊開業のポイント

市街化調整区域での民泊経営は、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 「属人性を有する建築物」かどうかの確認
  2. 家主居住型か家主不在型かの検討
  3. 建物の種目が居宅か。居宅以外なら用途変更が可能か。
  4. 文化財や特殊建築物の場合は、追加の確認が必要

市街化調整区域での民泊は、都市計画法が絡み通常の民泊よりも非常に複雑かつ困難です。必ず事前に鎌倉市開発審査課への相談を行ってください。

専門的な知識が必要な手続きですので、不安な点は行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。



鎌倉市開発審査課へのお問い合わせ情報
所属課室:都市景観部開発審査課
住所:鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階
メール:kaihatsu@city.kamakura.kanagawa.jp
電話:0467-23-3000(代表)

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