民泊の運営を始めようとしたとき、「欠格事由」という言葉に出会ったことはありませんか?この言葉は法律用語で、民泊事業者になれない人の条件を定めたものです。せっかく計画を進めてきたのに、この「欠格事由」に該当してしまうと、民泊運営のスタートラインにも立てません。本記事では、これから民泊事業を始めようと思っている鎌倉市に在住の方へ、民泊新法における欠格事由とは何か、どのような人が該当するのか、そして申請時に必要な「誓約書」について分かりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 民泊事業者になれない「欠格事由」の内容
  • 個人と法人で異なる欠格事由の違い
  • 申請時に必要な誓約書の書き方と提出方法
  • 欠格事由に関する一般的な質問と回答

民泊の「欠格事由」とは何か

欠格事由の基本的な意味

「欠格事由」とは、簡単に言えば「この条件に当てはまる人は民泊事業者になれません」という規定です。住宅宿泊事業法(民泊新法)では、安全で信頼できる民泊サービスを提供するため、一定の条件に該当する方が民泊事業を行うことを禁止しています。

これは、例えば飲食店で食品衛生責任者の資格が必要なことや、タクシードライバーに運転免許が必要なのと同じ考え方です。民泊は宿泊施設という特性上、利用者の安全や近隣住民との関係など、社会的な責任が伴います。そのため、法律では特定の条件に該当する方が事業者になることを制限しているのです。

なぜ欠格事由が設けられているのか

欠格事由が設けられている主な理由は以下の3つです。

  1. 利用者の安全を守るため:宿泊者の安全を確保できる運営者であることを確認します
  2. 民泊の健全な発展のため:違法な運営や問題を起こす可能性が高い人を排除します
  3. 社会的信頼性の確保:民泊業界全体の信頼性を高めるために必要な規制です

副業や投資として民泊を始める方にとって、この欠格事由を事前に確認しておくことは、時間とコストを無駄にしないためにも非常に重要です。

個人民泊オーナーが確認すべき7個の欠格事由

個人で民泊を始める場合、確認すべき欠格事由は7項目あります。いずれかに該当すると、届出が受理されず民泊事業を始めることができません。

欠格事由(個人)
心身の状態  心身の故障により住宅宿泊事業を的確に遂行することができない者として国土交通省令・厚生労働省令で定めるもの
経済状況破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
過去の行政処分     住宅宿泊事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から3年を経過しない者
刑事罰禁錮以上の刑に処され、又はこの法律若しくは旅館業法の規定により罰金の刑に処され、その執行を終わり、又は執行をうけることがなくなった日から起算して3年を経過しない者
暴力団等暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という)
未成年者営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が[1]から[5]のいずれかに該当するもの
暴力団員の事業暴力団員等がその事業活動を支配する者

心身の状態に関する事由

従来、心身の状態により「事業を的確に遂行できない」と判断される方は民泊事業者になれませんでした。しかし2016年成立の成年後見制度利用促進法を契機に、この欠格条項は緩和されています。現在は成年後見制度の利用者でも、一定条件下で民泊事業参入が可能となっています。申請時には欠格事由非該当の証明書類提出が必要です。

成年後見制度における欠格事由の見直しについて

住宅宿泊事業法における欠格事由の見直しは、成年後見制度利用促進法(2016年4月成立)に基づく一連の法改正の一環として行われました。2019年6月、第198回通常国会において「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立し、この法律により約180本の法律の欠格条項が見直されました。

この法改正の目的は、「成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう」にするためでした。改正前は成年被後見人等を一律に排除する欠格条項が設けられていましたが、改正後は「心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定」に変更されました。

この改正により、「成年被後見人や被保佐人となっても資格や職業はこれまでどおり維持することができ」るようになり、「今までであれば欠格条項を理由として成年後見制度をためらっていた人が、成年後見制度を利用するようになる」ことが期待されています。

経済状況に関する事由

破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない方も、民泊事業者になることができません。これは経済的な信頼性を確認するための条件です。例えば、不動産投資を行っていて過去に破産した場合、復権を得るまでは民泊事業を始められません。

過去の行政処分に関する事由

住宅宿泊事業の廃止を命じられ、その命令から3年が経過していない方も欠格事由に該当します。これは過去に民泊運営で重大な問題を起こし、行政から廃止命令を受けた方に対する制限です。

刑事罰に関する事由

禁錮以上の刑や、住宅宿泊事業法または旅館業法違反で罰金刑に処され、その執行終了から3年が経過していない方も民泊事業者になれません。この条件は、法令遵守の姿勢を確認するためのものです。

暴力団関連の事由

暴力団員または暴力団員でなくなってから5年が経過していない方は、民泊事業者になれません。また、暴力団員等が事業活動を支配する者も欠格事由に該当します。これは民泊事業の健全化と社会的信頼性を確保するための重要な条件です。

未成年者に関する事由

未成年者については、その法定代理人が上記のいずれかの欠格事由に該当する場合、民泊事業者になれません。これは未成年者の保護と、適切な民泊運営の確保を目的としています。

法人で運営する場合の欠格事由

法人として民泊事業を行う場合は、個人とは少し異なる欠格事由が適用されます。法人の場合に特に注意すべきポイントを見ていきましょう。

法人特有の欠格事由

法人の場合、役員に欠格事由に該当する人がいないことが条件となります
具体的には、次の人物が役員に含まれていないことが必要です。

  1. 心身の故障により住宅宿泊事業を的確に遂行できない者(成年被後見人又は被保佐人等)
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
  3. 住宅宿泊事業の廃止を命じられ、その命令から3年を経過していない者
  4. 禁錮以上の刑または関連法違反の罰金刑から3年を経過していない者
  5. 暴力団員または元暴力団員(5年未経過)

-Free Counseling-

今、鎌倉での民泊が人気です

誓約書の正しい書き方と提出方法

民泊の届出をする際、欠格事由に該当しないことを証明するため「誓約書」の提出が必要です。この誓約書は、個人と法人で様式が異なります。


個人の場合の誓約書(様式B)

個人オーナーの場合、「様式B」と呼ばれる誓約書を提出します。この様式Bでは、先ほど説明した個人の欠格事由7項目すべてに該当しないことを誓約します。成年後見人がついている場合、その情報も記入します。下部にある「殿」の前には〇〇地方整備局長と入ります。民泊届出する各地方整備局をご参照ください。

法人用宣誓書


法人の場合の誓約書(様式A)

法人の場合は「様式A」を使用し、法人特有の欠格事由に該当しないことを誓約します。様式Aには以下の情報を記入します。とてもシンプルですね。下部にある「殿」の前には〇〇地方整備局長と入ります。民泊届出する各地方整備局をご参照ください。

誓約書提出時の注意点

誓約書提出時には、以下の点に注意してください:

  1. 記入漏れがないか:すべての項目に記入されているか確認します
  2. 署名・押印の確認:指定された場所に署名または押印がされているか確認します
  3. 複写の取扱い:原本を提出するため、コピーを保管しておくことをお勧めします
  4. 提出先:申請書類等の提出先は、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等に届け出ます。届出は、原則として民泊制度運営システムを利用して行うこととしています。

外部リンク:民泊制度運営システム
     :民泊制度ポータルサイト|住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて

よくある質問と回答

民泊の欠格事由について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。

欠格事由に該当するかどうか、自分で判断できない場合はどうすればいいですか?

自分で判断できない場合は、各市町村の担当窓口へ相談するか、民泊申請を専門とする行政書士に相談することをお勧めします。鎌倉市の場合は、下記の課が担当となっています。

共生共創部地域共生課くらしと福祉の相談担当
鎌倉市御成町18-10 本庁舎1階
0467-23-3000

役員の中に欠格事由に該当する人がいる場合、その人を外せば法人として申請できますか?

はい、該当する役員を変更し、すべての役員が欠格事由に該当しない状態になれば申請が可能です。ただし、形式的な役員変更ではなく、実質的に該当者が事業に関与しないことが重要です。

申請後に欠格事由に該当することになった場合はどうなりますか?

届出後に欠格事由に該当するようになった場合、速やかに届出先の自治体に報告する義務があります。場合によっては事業の廃止命令が出されることもあります。

外国籍の方が民泊事業者になる場合、特別な欠格事由はありますか?

外国籍の方に特別な欠格事由はありません。日本国籍の方と同じ条件が適用されます。また破産宣告に関しては外国の公証役場や大使館発行の書類が必要になる場合がございます。また、在留資格によって事業活動に制限がある場合がありますので、確認が必要です。

欠格事由に該当せず民泊を始められても、後から問題が発覚した場合はどうなりますか?

虚偽の申請と判断された場合、業務停止命令や事業廃止命令の対象となり、罰則が適用される可能性もあります。誓約書の内容は正確に申告することが重要です。

まとめ:あなたの民泊事業を確実にスタートさせるために

民泊事業を始める際、欠格事由に該当しないことは最も基本的な条件の一つです。この記事では、個人・法人それぞれが確認すべき欠格事由と、申請時の誓約書について解説しました。

民泊の申請手続きは複雑に感じられることもありますが、専門家のサポートを受けることで、効率的かつ確実に進めることができます。不安な点があれば、民泊申請を専門とする行政書士にご相談ください。

民泊の申請手続きでお悩みではありませんか?「欠格事由に該当するかどうか不安」「申請書類の作成が複雑で時間がない」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

当事務所は鎌倉、葉山、逗子エリアの民泊申請を専門とする行政書士事務所です。これまでの豊富な経験と専門知識で、あなたの民泊事業の円滑なスタートをサポートします。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

【関連情報】

プランはとてもシンプル

後から追加費用は一切なし、まずはお気軽にご連絡ください

住宅宿泊業届出(民泊)


簡易宿所営業許可(旅館業法)


250,000

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前
民泊物件の種類
民泊物件の大きさ