神奈川県の鎌倉・葉山・逗子エリアは、豊かな自然と歴史的な観光資源に恵まれ、年間を通じて多くの観光客が訪れる人気の観光地です。このような地域で民泊(住宅宿泊事業)を始めることは、新たな収入源として魅力的な選択肢となっています。しかし、民泊事業を始める前に知っておくべき重要な要素の一つが「用途地域」による制限です。用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた土地の使い方のルールであり、この区分によって民泊の営業可否や条件が大きく変わってきます。本記事では、鎌倉・葉山・逗子エリアにおける民泊と用途地域の関係について、分かりやすく解説していきます。

この記事を読むとわかること

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)の基本と用途地域の関係性
  • 鎌倉・葉山・逗子エリアの用途地域における民泊営業の制限
  • 住居専用地域での民泊営業における注意点
  • 神奈川県の条例による営業制限と対応策
  • 民泊事業の届出手続きにおける用途地域の確認方法

住宅宿泊事業法と用途地域の基本知識

住宅宿泊事業法とは

2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)は、一般の住宅を活用した短期の宿泊サービスを法的に整備したものです。この法律により、旅館業法の許可を取得せずとも、届出だけで民泊サービスを提供できるようになりました。ただし、年間の営業日数は180日以内という制限があります。

住宅宿泊事業は、家主が不在でも営業可能な「家主不在型」と、家主が同居している「家主居住型」に分かれます。田中さんのような方が祖父から相続した古民家を活用する場合、どちらのタイプで運営するかによって必要な対応も変わってきます。

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用途地域とは

用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた、土地の使い方のルールです。住居、商業、工業など、その地域の目的に応じて13種類に区分されています。民泊事業は工業専用地域を除くすべての用途地域のエリアで原則、営業可能となっています。

*用途地域以外にも住民協定の確認が必要な場合もあります。

13種類の用途地域

ー 民泊との関連性 ー

第一種低層住居専用地域

低層住宅のための地域

小規模な店舗や事務所などを除き、住宅、小中学校などが建てられる

第二種低層住居専用地域

主に低層住宅のための地域

小中学校などのほか、150㎡までの一定の店舗や事務所などが建てられる

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域

病院、大学、500㎡までの一定の店舗などが建てられる

第二種中高層住居専用地域

主に中高層住宅のための地域

病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定の店舗や事務所などと利便施設が建てられる

第一種住居地域

住居の環境を守るための地域

3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建てられる

第二種住居地域

主に住居の環境を守るための地域

店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどが建てられる

準住居地域

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地を、これと調和した住居の環境を保護するための地域

住宅に加え、自動車関連施設などが建てられる

田園住居地域

農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域

住宅に加え、農産物の直売所などが建てられる

近隣商業地域

まわりの住居が日用品の買物などをするための地域

住宅や店舗はほかに小規模の工場も建てられる

商業地域

銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域

住宅や、ある程度の規模の工場も建てられる

準工業地域

主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域

危険性、環境悪化が大きい工場のほか、ほとんど建てられる

工業地域

どんな工場でも建てられる地域

住宅や店舗も建てられるが、学校、病院、ホテルなどは建てられない

工業専用地域

工場のための地域

どんな工場も建てられるが、住宅、店舗、学校、病院、ホテルなどは建てられない

神奈川県の民泊における用途地域制限

神奈川県箱根町の制限

神奈川県箱根町では、住宅宿泊事業法の施行に合わせて独自の条例が制定されています。箱根都市計画特別用途地区に該当する区域では、第一種低層住居専用地域において、一定の期間は民泊営業ができないという制限があります。具体的には以下の期間の営業が制限されています:

  • 3月1日正午から6月1日正午まで
  • 8月1日正午から9月1日正午まで
  • 10月1日正午から12月1日正午まで

これらの期間は、地域住民の生活環境への配慮から設定されたものです。

横浜市の制限

横浜市では、第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域において、月曜日の正午から金曜日の正午までの平日に民泊営業を制限しています。これは、平日の静穏な環境を確保するための措置であり、週末のみ営業が可能という形になっています。

鎌倉市の用途地域と民泊営業の実態

鎌倉の地理的特性と用途地域

鎌倉市は、古都としての景観や環境を保全するため、多くの地域が住居専用地域に指定されています。特に歴史的建造物が多く残る地域は、厳しい建築規制がかけられていることが多く、民泊営業にあたっては注意が必要です。

鎌倉市内の代表的な地域の用途地域を見てみましょう:

  • 鎌倉駅周辺:商業地域(民泊営業に比較的制限が少ない)
  • 由比ヶ浜・材木座エリア:第一種住居地域(条件付きで民泊可能)
  • 北鎌倉エリア:第一種低層住居専用地域や住民協定(制限が厳しい)

鎌倉での民泊営業のポイント

鎌倉で民泊を始める際には、以下のポイントに注意が必要です:

  1. 観光客が多いエリアでも、用途地域をクリアしても住民協定等により制限があることを理解する
  2. 古民家などを活用する場合、建物の構造(建築基準法)や設備面(消防法)での安全基準を満たす必要がある
  3. 地域住民との良好な関係を維持するための配慮が特に重要

鎌倉は観光地として人気が高いため、需要は見込めますが、地域の特性を理解した上での運営が成功の鍵となります。

葉山・逗子エリアにおける用途地域の特徴

海岸エリアと住宅地エリアの違い

葉山町と逗子市は、湘南海岸に面した観光地である一方、閑静な住宅街としての側面も持っています。特に海岸沿いのエリアと内陸部の住宅地エリアでは、用途地域の指定に違いがあります。

  • 海岸エリア:商業系用途地域や準住居地域が多く、比較的民泊営業がしやすい
  • 住宅地エリア:第一種低層住居専用地域が多く、営業制限が厳しい

魅力あふれる葉山町で広がる民泊の可能性

神奈川県でも屈指の高級別荘地、天皇陛下の御用邸としても知られる葉山。著名な政治家や多くの芸能人が住む逗子。この美しい海辺の町には、高級別荘地が点在しており、多くが「第一種低層住居専用地域」に指定されています。この地域区分は、静かな住環境を守るための特別なルールが適用される場所なんです。

私自身も葉山町に5年暮らした経験がありますが、海と山に囲まれた風景、地元の人々が大切にする穏やかな雰囲気、そして安心して夜道を歩ける治安の良さ—どれをとっても「ここに住めて幸せだな」と感じる素敵な町でした。

最近では、京急電鉄が企画した「葉山女子旅きっぷ」が人気を集め、都会から気軽に訪れる観光客が増えています。ところが、町の美しさを守るための土地利用規制があるため、大きなホテルはほとんど見当たりません。ここに、民泊という新しい形の宿泊サービスが活躍するチャンスがあるのです!

特に夏の季節には、キラキラと輝く森戸海岸で一日中遊んだ後、「今日はこのまま葉山に泊まりたいな」と思う観光客がたくさんいます。そんな方々のニーズに応える形で、地元の魅力を伝える民泊が、この美しい町の新たな可能性を開くかもしれません。

民泊事業を始める前の用途地域確認の方法

都市計画図での確認

用途地域は、各自治体の都市計画図で確認することができます。鎌倉市、葉山町、逗子市のいずれも、役所やウェブサイトで都市計画図を閲覧できるようになっています。

確認方法は以下の通りです:

  1. 各自治体のウェブサイトにアクセスする
  2. 都市計画・まちづくり関連のページを探す
  3. 都市計画図または用途地域図を閲覧する
  4. 該当物件の場所を特定し、指定されている用途地域を確認する

役所での直接確認

より確実に確認するためには、該当物件がある自治体の都市計画課や建築指導課に直接問い合わせることをおすすめします。専門の職員が正確な情報を提供してくれるだけでなく、その地域特有の規制についても教えてくれる場合があります。

民泊専門の行政書士への相談

民泊専門の行政書士に依頼すれば、あなたの物件が用途地域に適合しているかの確認から、必要書類の作成、役所との折衝まですべてお任せできます。専門家の力を借りることで手続きの負担が大幅に軽減され、法的リスクを回避しながら、安心して民泊事業に集中できます。あなたの貴重な時間と労力を守る強力な味方です。

宅地建物取引業者への相談

不動産業者、特に地元の宅地建物取引業者は、地域の用途地域について詳しい知識を持っています。民泊用の物件を探している段階であれば、用途地域の制限も考慮した物件選びをサポートしてもらえるでしょう。

よくある質問と回答

用途地域が商業地域でも民泊の届出は必要ですか?

はい、用途地域に関わらず、住宅宿泊事業を始める場合には必ず届出が必要です。商業地域であれば営業日数の制限は受けにくいですが、基本的な安全措置や宿泊者名簿の備付けなど、住宅宿泊事業法で定められた義務は全て遵守する必要があります。

用途地域による制限と条例による制限の違いは何ですか?

用途地域による制限は都市計画法に基づくもので、その土地でどのような建物を建てられるか、どのような用途に使えるかを定めたものです。一方、条例による制限は、各自治体が住宅宿泊事業法に基づいて独自に設けた営業制限です。両方の制限を確認することが重要です。

古民家を民泊として利用する場合の注意点は?

古民家を民泊として利用する場合、以下の点に注意が必要です:

  • 文化財に指定されている場合は、さらに厳しい制限がある
  • 建築基準法の現行規定に適合していない可能性がある
  • 防火・避難設備の追加設置が必要になることが多い
  • 建物の改修には許可や届出が必要な場合がある

まとめ:成功する民泊経営のために

鎌倉・葉山・逗子エリアで民泊事業を始める際には、用途地域による制限を理解し、適切に対応することが重要です。特に住居専用地域での営業は制限が厳しいため、家主居住型を選択したり、営業可能な時期を見極めたりするなどの工夫が必要です。

また、単に法的な制限をクリアするだけでなく、地域住民との良好な関係を築くことも成功の鍵となります。田中さんのように、地域の伝統と文化を尊重しながら、魅力的な宿泊体験を提供することで、持続可能な民泊事業を実現できるでしょう。

民泊事業は、法律や条例、用途地域など確認すべき事項が多岐にわたります。初めて民泊事業を始める方は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。私たち行政書士事務所では、民泊の届出から運営までトータルでサポートしています。不安や疑問がある方は、お気軽にご相談ください。

民泊の届出や用途地域に関するご相談はこちら

民泊事業の届出や用途地域の確認でお悩みの方は、行政書士にご相談ください。鎌倉・葉山・逗子エリアの用途地域に精通したプロフェッショナルが、あなたの民泊事業の成功をサポートします。初回相談は無料で承っておりますので、下記のお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。

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