はじめに

鎌倉の古民家を活用して民泊事業を始めようと考えている田中さん。祖父から相続した家を有効活用したいと思っていたところ、「宿泊者一人あたり3.3㎡以上必要」という面積要件を知って心配になりました。

「面積はどう計算するの?」「どの部屋が宿泊室に該当するの?」「居室と宿泊室の違いは?」

このような疑問は、田中さんに限らず鎌倉・葉山・逗子エリアで民泊を始めようとする多くの方が抱えるものです。民泊の面積要件は住宅宿泊事業法(民泊新法)で厳格に定められており、これを満たさないと事業を始められないばかりか、罰則の対象になることもあります。

この記事では、民泊の届出申請に必要な「居室面積」「宿泊室面積」「宿泊者使用面積」の違いや算出方法について、鎌倉・葉山・逗子エリアの特徴も踏まえてわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 民泊の届出申請で必要な「居室面積」「宿泊室面積」「宿泊者使用面積」の違いと算出方法
  • 古民家や別荘での面積計算の特徴
  • 法律に準拠した正確な面積計算方法と宿泊定員の決め方
  • 面積基準を満たさない場合のリスクと対応策

住宅の規模とは?

民泊の届出を行う際、届出時の情報として住宅の規模の情報が必要です。住宅の規模は、「居室の面積」「宿泊室の面積」「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積」のそれぞれについて届け出る必要があります。

これらはそれぞれ計算方法や含まれる範囲が異なるため、正確に理解しておかないと届出書に誤った情報を記載してしまう恐れがあります。以下、それぞれの面積について詳しく解説していきます。

居室の面積

住宅宿泊事業法施行要領によると、「居室の面積」は次のように定義されています:

国・厚規則第1号様式に記載する「居室の面積」とは、宿泊者が占有する面積のことを表す(宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れや床の間は含まない)。具体的には、簡易宿所の取扱いと同様に算定することとする。なお、内寸面積で算定することとする。

出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

面積に含まれる場所

  • リビングダイニング
  • 洋室、和室など寝室に利用する部屋

鎌倉・葉山・逗子エリアの古民家に多い床の間や押入れは含みません。また、台所や浴室、便所、洗面所などは「宿泊者の占有でない」とされています。これは、家主居住型の場合は居室面積に含まれませんが、家主不在型の場合は居室面積に含まれることを意味します。

面積の測り方

なお、居室の面積は、内寸面積で計算する必要があります。内寸面積とは、壁の内側で測った面積のことです。

宿泊室の面積

次に「宿泊室の面積」について見ていきましょう。住宅宿泊事業法施行要領では次のように定義されています:

国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊室の面積」とは、宿泊者が就寝するために使用する室の面積を表す(宿泊室内にある押入れや床の間は含まない)。なお、面積の算定方法は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とする。

出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

面積に含まれる場所

  • 洋室、和室など就寝に利用する部屋

鎌倉の古民家に多い次の間なども、就寝用に利用する場合は宿泊室に含まれる場合があります。ただし、押入れや床の間は含みません

面積の測り方

宿泊室の面積は壁芯面積で計算する必要があるという点です。壁芯面積とは、壁や柱の中心線で囲まれた部分の面積で、内寸面積よりも少し広くなります。

宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積

最後に「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積」について解説します:

国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く。)の面積」とは、宿泊者の占有か住宅宿泊事業者との共有かを問わず、宿泊者が使用する部分の面積であり、宿泊室の面積を除いた面積を表す(台所、浴室、便所、洗面所のほか、押入れや床の間、廊下を含む)。なお、面積の算定方法は「宿泊室の面積」の場合と同様とする。

出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

面積に含まれる場所

  • リビングダイニング
  • キッチン
  • クローゼット
  • 押入
  • 床の間
  • 玄関
  • 廊下
  • トイレ
  • 洗面室
  • バスルーム

宿泊室として申請した部屋を除く、宿泊者が利用する可能性のあるすべての空間が対象になります。鎌倉や葉山の古民家や別荘に特徴的な縁側や土間なども、宿泊者が使用する場合はここに含まれる場合があります。詳しくは各市町村の窓口に確認をしましょう。

面積の測り方

この面積も宿泊室の面積と同様に壁芯面積で計算します。基本的には宿泊室の面積と宿泊者の使用に供する部分の面積を合計すると、その住宅の延床面積と一致するはずです。

宿泊定員の
算出方法

民泊における宿泊可能人数(宿泊定員)は、「居室の面積÷3.3㎡」で計算し、小数点以下は切り捨てます。この3.3㎡という数字は一坪=畳二畳分に相当します。

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう:

  1. 居室が10㎡の場合:10㎡÷3.3㎡≒3.03人→3人まで宿泊可能
  2. 居室が8㎡の場合:8㎡÷3.3㎡≒2.42人→2人まで宿泊可能
  3. 居室が16.5㎡の場合:16.5㎡÷3.3㎡=5人まで宿泊可能

鎌倉・葉山・逗子エリアでは、古民家を改装した民泊も多く、和室や次の間など特徴的な空間があります。特に家族で利用する場合、十分な宿泊定員を確保するためには、適切な面積計算が重要です。

子どもや赤ちゃんも大人と同じように1人としてカウントする必要があります。また、宿泊者の同意があっても法定基準を超える人数を受け入れることはできません


簡単に言えば、「部屋が少し狭くても問題ないです」と宿泊者が言っても、法律で定められた最低限の空間(1人3.3平方メートル以上)を確保できない人数での宿泊サービスの提供は認められていないということです。これは宿泊者の健康と安全を確保するための最低基準として法律で義務付けられているからです。

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鎌倉・葉山・逗子エリアでの特徴

鎌倉・葉山・逗子エリアには、日本家屋や古民家、別荘タイプの物件が多く存在します。これらの伝統的な日本家屋では、面積計算において以下のような特徴があります:

  1. 襖で仕切られた空間の扱い:鎌倉の古民家では、和室と"次の間"が襖で仕切られていることが多いですが、これらを一体的に使用する場合は、一つの宿泊室として合算して計算できる可能性があります。
  2. 床の間や押入れの除外:伝統的な和室には床の間や押入れがありますが、これらは宿泊室の面積からは除外する必要があります。特に鎌倉の古民家では、これらのスペースが広いケースもあるため注意が必要です。
  3. 縁側の扱い:葉山や逗子の別荘に多い縁側は、完全に屋内化されてリフォームされている場合は宿泊室として申請できる可能性がありますが、原則として宿泊室には含まれません。
  4. 市街化調整区域の制限:鎌倉市には市街化調整区域が存在し、この区域では民泊にも特別な制限があります。特に「属人性を有する建築物」で家主不在型の民泊を行う場合は、都市計画法違反となる可能性があるため注意が必要です。

このようなエリア特有の条件を踏まえた上で、図面を作成する際には正確な面積計算と適切な宿泊定員の設定を行うことが重要です。

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面積基準を満たさない場合のリスクと対応策

民泊の面積基準を満たさない場合、以下のようなリスクがあります:

  1. 業務改善命令:違反が見つかると、まず業務改善命令が出されます。
  2. 業務停止命令:改善されない場合は、一定期間の業務停止命令が出されることがあります。
  3. 罰則:虚偽の届出をした者には30万円以下の罰金が科される場合があります(第76条第1号)。その他、業務停止命令等に違反した者には6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、または併科されることがあります(第73条第2号)。

参考:e-Gov法令検索住宅宿泊事業法

面積基準を満たさない場合の対応策としては:

  1. リフォームによる宿泊室の拡大:間仕切りの撤去や押入れの改装などで宿泊スペースを増やす
  2. 宿泊定員の見直し:面積に合わせて宿泊定員を減らす
  3. 予約サイトでの宿泊可能人数の修正:実態に合わせた適正な人数設定にする

特に鎌倉・葉山・逗子エリアは観光地として人気があるため、少ない宿泊人数でも高単価を実現できる可能性があります。

よくある質問

図面はどうやって書けばいいですか?

民泊の届出には平面図で各設備の設置状況を明示、かつ、居室や宿泊室などの床面積の計算が必要です。図面は手書きでもCADでも問題ありません。距離の測定は専門家が行う場合、レーザー測距計、メジャーなどを使用することが多いです。

鎌倉の古民家で、座敷と次の間が襖で仕切られている場合、どう計算すればよいですか?

原則として、固定された壁や建具で区切られた部屋ごとに計算します。しかし、襖で仕切られているだけで一体的に使用する場合は、一つの宿泊室として合算して計算できる可能性があります。ただし、自己判断せず、必ず事前に鎌倉保健福祉事務所に相談してください。

リビングにソファベッドを置いて宿泊室として使用できますか?

リビングを宿泊室として使用することは可能ですが、届出時に宿泊室として申請しておく必要があります。後から宿泊室を増やす場合は変更届が必要です。また、宿泊室は家主居住型でも50㎡を超えると旅館ホテル棟と同様の防火対策が必要になるので注意が必要です。

子どもや赤ちゃんも大人と同じように面積をカウントする必要がありますか?

はい、法律上は年齢に関わらず、1人は1人としてカウントします。例えば4歳の子どもでも、3.3㎡の面積が必要です。赤ちゃんであっても同様です。

専門家に相談するメリット

民泊の面積要件は一見シンプルですが、実際には複雑な判断を要する場面が多々あります。特に鎌倉・葉山・逗子エリアの伝統的な日本家屋や別荘物件では、どの部分を宿泊室として申請すべきか、どう面積を計算すべきかの判断が難しいことがあります。

民泊に精通した行政書士に相談することで、以下のようなメリットがあります:

  1. 正確な面積計算と最適な宿泊定員の設定
  2. 届出書類の適切な作成と提出サポート
  3. 地域特有の規制や条例への対応
  4. 市街化調整区域などの特殊なケースにおける相談
  5. 行政とのコミュニケーション支援

当事務所では、鎌倉・葉山・逗子エリアの民泊届出に特化し、地域特有の課題や行政の対応に精通しています。面積計算に不安がある方、最適な宿泊室の設定を検討したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

民泊の届出に必要な面積は「居室の面積」「宿泊室の面積」「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積」の3種類があり、それぞれ計算方法や含まれる範囲が異なります。

居室の面積は内寸面積で、宿泊室とその他の部分は壁芯面積で計算するという違いもあります。鎌倉・葉山・逗子エリアの古民家や別荘では、伝統的な建築様式から面積計算が複雑になることも多いため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

適切な面積計算に基づいた宿泊定員の設定を行い、法令遵守の上で魅力的な民泊サービスを提供しましょう。

お問い合わせ

民泊の面積要件について、より詳しい相談や届出のサポートをご希望の方は、お気軽にご連絡ください。初回相談は30分無料で承っております。

鎌倉・葉山・逗子エリアでの出張相談も可能です。お気軽にご相談ください。

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住宅宿泊業届出(民泊)


簡易宿所営業許可(旅館業法)


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