はじめに

鎌倉へは年間約1200万人(R5)の観光客が訪れ、インバウンド需要が高まる昨今、民泊事業を成功させるためには、外国人観光客への適切な対応が欠かせません。住宅宿泊事業法では、外国人宿泊者の快適性と利便性を確保するため、具体的な措置を講じることが義務づけられています。この記事では、民泊運営者が知っておくべき外国人宿泊者への必須対応について、実践的な内容をお伝えします。

この記事を読むとわかること

  • 外国人宿泊者への案内で法律上必要な4つの項目
  • 効果的な情報提供の方法と具体例
  • 災害時対応で特に注意すべきポイント
  • 鎌倉での民泊運営に活かせる実践的なアドバイス

外国人宿泊者への必須対応とは

住宅宿泊事業法では、外国人観光客が宿泊する際の快適性と利便性を確保するため、民泊運営者に4つの措置を義務づけています。これらの対応は、単なる親切心ではなく法的な責任として位置づけられています。

外国人観光客は日本の生活習慣や設備の使い方に慣れていないことが多く、適切な案内がなければ戸惑いや不便を感じてしまいます。特に鎌倉のような観光地では、快適な宿泊体験を提供することで口コミでの評価向上や再訪につながります。

法律で定められた対応を適切に行うことで、ゲストの満足度を高めながら、運営者としての責任も果たすことができます。

設備使用方法の外国語案内

宿泊施設内の設備について、外国語での使用方法案内が必要です。これには、お風呂やトイレの使い方、エアコンや照明の操作方法、キッチン設備の利用方法などが含まれます。

日本の住宅設備は海外と異なる部分が多く、特にお風呂の使い方やトイレのウォシュレット機能、ゴミの分別方法などは丁寧な説明が求められます。鎌倉の古民家をリノベーションした物件では、伝統的な建具の開閉方法なども案内に含めると良いでしょう。

文字だけでなく、イラストや写真を使った視覚的な案内を作成すると、言語の壁を越えて理解しやすくなります。最近では、スマートフォンで読み取れるQRコードを使って、多言語の動画案内を提供する民泊も増えています。

交通手段情報の提供方法

最寄りの駅や交通機関への行き方、利用可能な交通手段について外国語での情報提供が必要です。鎌倉の場合、JR鎌倉駅や江ノ電の各駅、バス停への経路案内が重要になります。

外国人観光客にとって、公共交通機関の利用は大きな関心事です。ICカードの購入方法や使い方、電車の乗り方、運賃の支払い方法なども含めて案内すると喜ばれます。鎌倉駅から大仏や鶴岡八幡宮への行き方など、主要観光地へのアクセス情報も併せて提供すると良いでしょう。

地図だけでなく、実際の写真や目印となる建物の情報も含めることで、初めて鎌倉を訪れる外国人でも迷わずに移動できます。タクシーの呼び方や、「鎌倉駅までOOO円」など料金の目安についても触れておくと、より親切な案内になります。

災害時の通報連絡先案内

火災や地震などの災害が発生した際の通報連絡先について、外国語での案内が義務づけられています。これは単なる情報提供ではなく、緊急時に命を守るための非常に重要な項目です。

消防署(119番)、警察署(110番)、最寄りの医療機関、そして住宅宿泊管理業者や運営者自身への連絡方法を明記する必要があります。鎌倉市では、鎌倉消防署や鎌倉警察署の連絡先も併せて記載しておくと安心です。

災害時の案内は、緊急時にすぐに確認できる場所に掲示することが重要です。寝室やリビングなど、宿泊者が長時間過ごす場所に設置し、暗闇でも見えるよう蓄光テープを使用するなどの工夫も効果的です。

情報提供の実施方法

これらの情報は、紙の案内書として部屋に備え付けるほか、タブレット端末への表示やスマートフォンアプリなど、宿泊者が必要に応じて閲覧できる方法で提供する必要があります。

紙の案内書の場合、宿泊者が予約時に指定した言語で作成します。もし宿泊者が日本語を指定した場合は、外国語での案内は必要ありません。ただし、実際には多くの外国人が英語での案内を希望するため、英語版を用意しておくことをお勧めします。

デジタル形式での提供も効果的です。QRコードを読み取ると多言語の案内が表示される仕組みや、専用アプリでリアルタイムの交通情報を確認できるサービスなど、技術を活用した案内方法も検討してみてください。

最も重要なのは、宿泊者が実際に必要とする情報を、分かりやすい形で提供することです。形式的な対応ではなく、ゲストの立場に立った親切な案内を心がけましょう。

トラブルと注意点

日本では独自の文化や価値観が共有されていますが、外国人は当然それらを理解しているわけではありません。

よくあるトラブルとして以下ようなものがあります。

設備・備品の破損や盗難

事業者が外国人宿泊客用に準備しているタブレット端末やスマートフォン、備品であるシャンプーやコップ、タオルなどを宿泊客が持ち帰ってしまうケースがあります。事前に備品の持ち帰りが禁止されていることを明確に伝え、設備の破損や備品の盗難などに備えて民泊専用保険への加入を検討しましょう。

騒音・喫煙

民泊は住居専用地域でも営業が可能ですが、夜間の騒音問題や居室内での喫煙で頭を悩ませる事業者も多いのが現状です。周辺住民の反発を招けば民泊経営自体が危うくなることもあります。ハウスルールを多言語でわかりやすく掲示し、騒音に関する禁止事項や注意書き、騒音発生時の連絡先などを記載しましょう。

ゴミの分別

日本のゴミ分別方法を外国人が理解していない場合が多く、トラブルに発展するケースが多発しています。用途別にゴミ箱を複数設置する、ゴミの分別方法についてわかりやすく説明したものを掲示するなどの対策を講じましょう。また、民泊から出るゴミは事業用ゴミに該当するため、地域のゴミステーションにゲストが捨てることがないよう注意喚起をしておきましょう。

まとめ

外国人宿泊者への適切な対応は、法的義務であると同時に、民泊事業成功の重要な要素です。設備の使用方法、交通手段、災害時の連絡先について、外国語での分かりやすい案内を準備することで、ゲストの満足度向上につながります。

鎌倉という特別な立地を活かし、外国人観光客に心から喜んでもらえるような民泊運営を目指しましょう。適切な準備と対応により、リピーターの獲得や口コミでの評価向上も期待できます。

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