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はじめに
観光庁が公表した最新の統計(令和8年7月15日時点)によると、全国の住宅宿泊事業(民泊)の届出件数は65,837件に達しました。数字だけを見れば「まだまだ増えている」という印象を受けますが、実はこの統計を細かく読み解くと、神奈川県には全国とは異なる特徴が見えてきます。
それは「撤退(事業廃止)が全国に比べて少ない」という点です。鎌倉・逗子・葉山・横須賀エリアで民泊届出を専門にサポートしている行政書士の立場から、最新の一次データをもとに神奈川県の位置づけを整理します。
この記事を読むとわかること
- 全国の民泊届出・廃止状況の最新数値(令和8年7月15日時点)
- 神奈川県の廃止率が全国よりも低い理由と背景
- 横須賀市をはじめとする県内自治体別の内訳
- 鎌倉市・逗子市・葉山町の数字が全国統計上「見えない」理由
民泊の届出件数、全国は65,837件に到達

観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」によれば、令和8年7月15日時点における住宅宿泊事業の届出件数は65,837件です。このうち事業を廃止した件数は23,767件で、現在実際に稼働している届出住宅数は42,070件となっています。
届出件数に対する廃止件数の割合(廃止率)を計算すると、全国では36.1%です。つまり、これまでに届出をした住宅のおよそ3件に1件強が、何らかの理由で事業を取りやめている計算になります。まずはこの「全国36.1%」という数字を基準として押さえておいてください。
出典:観光庁「住宅宿泊事業届出住宅数推移」
神奈川県の届出住宅数は全国のわずか3%

次に神奈川県のデータです。観光庁の一覧では、神奈川県は都道府県別の届出主体(705件)に加えて、保健所を独自に設置している横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・茅ヶ崎市がそれぞれ別枠で集計されています。これらをすべて合算すると、神奈川県内の届出件数は1,714件、廃止件数は438件、稼働中の届出住宅数は1,276件です。
全国の届出住宅数42,070件に対して、神奈川県内は1,276件ですから、シェアはおよそ3.0%にとどまります。東京都・京都府・北海道といった主要エリアと比べると数の上では大きくありませんが、注目すべきは「量」ではなく「質」の部分にあります。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出の状況(令和8年7月15日時点)」
神奈川で際立つのは「廃止率の低さ」
神奈川県内の廃止率を計算すると25.6%です。全国の廃止率36.1%と比べると、10ポイント以上低い水準にあります。単純に言えば、神奈川県で民泊届出をした事業者は、全国平均よりも事業を継続している割合が高いということになります。
もちろん、この数字だけで「神奈川なら必ず成功する」と結論づけることはできません。廃止の理由は集計上示されておらず、旅館業への切り替えや家庭の事情による撤退なども含まれている可能性があります。ただし、少なくとも「届出をしたのに早期に撤退する事業者の割合」が全国より低い地域であることは、一次データから読み取れる事実です。
県内自治体別に見ると、横須賀市の伸びが際立つ
神奈川県内でも、自治体ごとに数字の動きは異なります。前回の公表時点(令和7年3月14日)と今回(令和8年7月15日)を比較すると、次のような特徴が見えてきます。

特に横須賀市は、届出住宅数が89件から141件へと158.4%大きく増加した一方、廃止率は9.0%にとどまっています。県内他市と比べても際立って低い水準であり、横須賀市エリアで民泊を検討している方にとっては参考になる数字です。(これは主観ですが、私の地元である横須賀は米軍基地があることで、米国人だけでなく異文化色が他の市区町村に比べ強い土地であり外国人へのハードルは低いのかもしれません)
一方、川崎市は廃止率が39.4%と全国平均(36.1%)をやや上回っており、同じ神奈川県内でも自治体によって状況が異なることが分かります。「神奈川だから安心」と一括りにせず、事業を予定しているエリアの実態を個別に確認することが重要です。
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なぜ鎌倉市・逗子市・葉山町の数字は見えないのか
ここまで横須賀市・横浜市など「保健所設置市」の数字を個別に見てきましたが、鎌倉市・逗子市・葉山町については、観光庁の統計上、単独の数字が存在しません。
この3市町は保健所を独自に設置しておらず、民泊の届出窓口は神奈川県(鎌倉保健福祉事務所)が所管しています。そのため、観光庁の集計では横浜市や横須賀市のように単独枠が設けられず、「神奈川県」全体(届出705件・廃止181件・届出住宅524件)の中に、鎌倉市・逗子市・葉山町のほか、県が直接所管するその他の地域の数字もまとめて含まれています。
つまり、全国統計だけを見ていては、鎌倉・逗子・葉山エリアの民泊がどれだけ増えているのか、どれだけ撤退しているのかを正確に把握することはできません。この点を知らずに「神奈川県は◯件」という数字をそのままエリアの参考にしてしまうと、実態とのズレが生じる可能性があります。
鎌倉市・逗子市・葉山町エリアの個別の届出状況を正確に確認したい場合は、神奈川県または鎌倉市が別途公表している地域別の一覧資料を確認する必要があります。この点は、地域に精通した専門家に相談いただくことで、より具体的な情報をお伝えできます。
「増加ペースは全国並み、定着率は神奈川が上」という構図
令和7年3月14日時点の届出件数(神奈川県内合計1,268件)と、今回令和8年7月15日時点(同1,714件)を比べると、神奈川県内の届出件数の増加率は約35.2%です。実は、この伸び率は全国の増加率(同期間で約35.2%)とほぼ同水準にあります。
つまり、神奈川県で民泊の届出が特別なペースで急増しているわけではなく、「新規参入のペースは全国と同じくらい」でありながら、「一度始めた事業を継続する割合は全国より高い」という構図が見えてきます。これは、これから民泊を始める方にとって、参入のタイミングそのものよりも、始めた後にいかに事業を継続できるかが重要であることを示すデータともいえます。
よくある質問
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神奈川県は民泊の廃止率が低いので、届出をすれば必ず事業を続けられますか。
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いいえ。今回のデータはあくまで神奈川県全体の集計上の傾向であり、個々の事業の継続を保証するものではありません。廃止の理由(旅館業への切り替え、家庭の事情等)は統計上示されていないため、「全国より廃止率が低い」という事実を踏まえたうえで、ご自身の物件・エリアの状況を個別に確認する必要があります。
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鎌倉市・逗子市・葉山町の届出件数を正確に知る方法はありますか。
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観光庁の全国統計には単独の数字が出ていないため、神奈川県または鎌倉市が公表している地域別の資料を確認する必要があります。エリアの実情を踏まえた相談は、地域に精通した専門家にお問い合わせいただくことをおすすめします。
住宅宿泊管理業者の登録も大幅に増加
あわせて、住宅宿泊管理業者(民泊の管理業務を代行する事業者)の登録件数も紹介します。令和8年7月時点の登録件数は4,529件です。これは、家主不在型の民泊で管理業務の委託先として登録している事業者の数を示しています。届出件数の増加とあわせて、管理業務を担う事業者の裾野も広がっていることがうかがえます。
まとめ
今回の統計から分かることを整理すると、次の3点になります。
- 全国の届出件数は65,837件、廃止率は36.1%
- 神奈川県内の廃止率は25.6%と全国より低く、特に横須賀市は9.0%と際立って低い
- 鎌倉市・逗子市・葉山町の個別数値は全国統計には表れず、神奈川県全体の数字の中に埋もれている
「届出件数が増えている」という表面的な情報だけでなく、廃止率や地域別の内訳まで踏み込むことで、初めて見えてくる実態があります。これから神奈川県で民泊を始めようとお考えの方は、全国統計と地域の実情の両方を踏まえたうえで判断することをおすすめします。
鎌倉市・逗子市・葉山町・横須賀エリアでの民泊届出や、地域ごとの実情を踏まえたご相談は、当事務所の無料相談をご利用ください。
情報の基準日:令和8年7月15日(観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」時点)。自治体別の推移比較は令和7年3月14日時点との対比によります。
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